勢対千代鳳戦で髷をつかんだとして物言いがつき、勢が
反則負けとなった。最近髷をつかんでの反則が目立つ
ようになった。横綱にさえあった。相撲規則の禁手には
取組に次の八つが禁じられ、使うと反則負けになる。
と記され、その中に相手の髪の毛を掴むこと書かれている。
以前は故意にという言葉があったが、最近なくなった
ことは相撲ファンならご存知であろう。
150316九日目幕内 156
<千代鳳対勢>

負けを承知で故意につかむ者はいない。また、故意か
否かは人の心の問題だから第3者が判断することは
難しい。だから故意にという言葉がはずされた。また、
髷をつかむことが勝負に直結しているにもかかわらず、
故意でないから髷をつかんでも勝ちということがあっては
ならない。
150316九日目幕内 174
<審判協議の結果勢の反則負け>

ところが、派手に髷をつかみながら勝った力士がいた。
1964(昭和39)年十一月場所12日目の海乃山対荒波戦で
ある。この一番荒波が3度立ちしぶったあと、ようやく
立ち上がった。突っ張り合いから押して出る海乃山を
荒波がはたいた。そのとき荒波の指が海乃山の髷にかかり、
2,3度引っ張って引き倒してしまった。元結が切れ、
ざんばら髪となった海乃山は髷をつかんだと訴えた。

しかし、行司の軍配は荒波にあがり、物言いがついた。
長い協議の結果軍配どおりになった。あれが反則負けに
ならないなら反則負けなど存在しないとまで批判された。
そして、このことが思わぬ結果を招いた。検査長(現在の
審判長)を務めていた勝負検査役代行が場所中謹慎処分に
なった。それなら荒波の反則負けにすべきではという声に
前例がないとして覆ることはなかった。

今なら文句なしに海乃山の勝ちだが、歴史のなかには
不合理な一面が必ずあるものだ。「故意に」が相撲規則
から消えたのはやむを得なかった。

<写真は場所後掲載予定>